イギリス人達に聞く分かりやすいBrexit

なんなのこのイギリスのゴタゴタ?と思った人は少なくないはず。イギリス人達自身も、もううんざりしています。飽き飽きというか。本当に起こるんだね!と話を振っても肩をすくめる感じ。

2年前に国民投票で可決された日をまだ覚えています。その時はまだ東京にいて、薄暗い夕方にディーがウホホー!と吠えました。『we’re leaving!! We ARE LEAVING!!』と興奮して叫び、下落したポンドをきっかけに大量に銀行送金した記憶があります。

イギリス人達は、早く終わって欲しいと心から望んでいます。もうno dealでいいから、と。たまに、学生さんが抗議デモをしている映像もニュースで見ますが、それはあくまで少数派で、当初過半数ぐらいだったいわゆる残留派、EUに残るべきと論じていた人達も、議会の政治家を除いてほぼみんなが、あまり混乱を招かずに離脱を終わらせて欲しいと今は思っています。

あれからBrexitは困難を極め、もう2年です。今月末がEUに返事をする期限で、またイギリス議会でボリスの新しいdealが却下されましたが、ボリスは期間を延長するか、No deal=合意なき離脱で強行するのか、今とっても大事な局面を迎えています。

ディーがよく言うのですが、国民投票で決まったんだから、やるべきだよ、と。前首相のメイさんも、この民主主義を徹底させようという崇高な使命に涙を飲んだ一人。

イギリス人はとても誇り高い生き物で、英語はワタシタチが作り上げたモノダ!と言ったり、大英帝国のレガシーを捨て切れず、ちょっと違うレベルで物事を見てる部分がある民族であります。別の表現で言うと、EUに残らなくてもやっていけるはず、という気持ちが強い。

そんなイギリスは、もともとEUに所属していたのは経済的効果を考慮していたからで、EUでもトップのGDPを叩き出し、自国の貨幣(ポンド)でやっていける力を持つため、ここのところはEU内他国の尻拭いばかりで、あまり旨味を感じなくなっていった訳です。

イギリスがEUを離脱した場合、残った加盟国達は、今までイギリスがEUに出していたお金を分担します、当然各国の財政支出は増えますから、あんた達そんな簡単に抜けれると思うなよ、とdealが進まない訳です。でもイギリスも、抜ける際の手切れ金を払うと約束しています。

EU全体のお財布にも、Brexit後には変化が起きます。主に東欧加盟国の経済支援を目的とした結束基金は、EUの次期長期予算で10%削減されます。そうすると、ポーランド、スロヴァキア、チェコ、エストニア、リトアニア5カ国の受け取り分が一挙に減ります。ここで分かる事は、EUに残る事は、その全体としての組織維持の為にお金のない国を、お金のある国がサポートしなければならないという事です。お金を負担していたイギリスが抜けて困る国はたくさんあるのです。

イギリス国内で問題になっているのは、このEUに対する予算をいくら出すかでした。いつも議会で揉めていて、でもこれは政治的な話で、国民の一番の不満は移民です。

ふーん移民ね、と思うかもしれませんが、国が移民を受け入れるのは、それこそマネーの為です。私がワーホリで滞在していた、移民大国ニュージーランドは良い例で、彼らは移民から恩恵を受けられるシステムを作って共存しているように見えますが、でもNZはEUに加盟している訳でないし、国独自の判断で受け入れを制限できます。この、自分の権限で判断を下せない、というのが一番の問題なんです。欧州司法裁判所がイギリスの最高裁よりも強いのが原因で、イギリスはその状態がもう我慢できないのです。

イギリスは、経済的にユーロ他国より自立しています。経済が潤っているから、雇用があり、沢山の移民の受け口になってしまうのです。仕事のない国から移動してくる外国人達…もちろんメリットもあり、移民を低賃金で利用している人やビジネスもあります。イギリス人がやらない仕事を、外国人達がやってくれているのです。

といっても、増え続ける移民になすすべなく、自分達の法律で規制する権限がない今、国民医療費の増大などが財政を圧迫しています。イギリスは医療費無料なんです、その為にイギリスにやってくる人も多いとか。例えば数年間で、住んでいる街に様子の違う人が増え続けて、いつも行っているお医者さんが外人で溢れかえって、予約さえできずに長い待機期間を告げられたらどう思うでしょう。私だったら、この国はどこに向かって行くんだろう、と思います。

イギリス国民は最初、こんな混乱は予想していませんでした。単純にもう移民やだ、と思っていたんだと思います。でもいざ可決されたら、経済的に不利益になることが見えてきたり、生活に支障がでるかもしれないと分かったり、後から、えそうなの?とショックを受ける事実をたくさん知らされます。

例えば、イギリスはアメリカに次ぐ肥満大国で、国民の三分の二が肥満と言われています、もちろん糖尿病も多く、小児糖尿病を患う子供もたくさん。糖尿病といえば、インシュリン注射です。薬剤はユーロ圏から輸入しています。薬はほぼ輸入に頼るイギリス、ユーロ離脱後には、供給率が数十パーセント下がると言われています。

輸入物には関税がかかります。EUに所属していれば一律の関税も、離脱後にはどうなるか分かりません。税金の問題だけでなく、今はノーチェックでスルーできる輸出入も、ユーロ離脱後は通関手続きが必要になります。今までのようにスムーズに物事が入ってこなくなるんです。

更には、単一市場をギブアップする事で、今までパスポートだけで行き来可能だったユーロ圏との移動も、ビザが必要になる等の不便が生じる可能性があります。不動産の売買もそう。飛行機のチケットでさえ値段が変わるかもしれません。

また、イギリスの一部のアイルランド、北はイギリス領で南はユーロに属する、複雑な立場。地続きなのに、離脱したらどうするのでしょう。アイルランドはイギリスを抜ける、という話も出ています。

このように問題山積みのまま、イギリス議会はことごとくEUとのディールを否決し、ここまでズルズルやってきました。じゃあ他にいいディールあるのかよ、が皆さまの意見です。議会も反対するしかできないんでしょう。私も島国に生まれ育った身として、大英帝国の皆さまの気持ちはよく分かります。でもそろそろ決めないとね、とりあえず離脱すると言ってしまったのですから。

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