イギリス人と中医学と漢方

ディーが風邪をひきました。1年に2回くらいは喉風邪をひく彼ですが、日本では病院に行った事はなく、家で寝込んで治していました。ナチュラルが好きで、お金がかかる事が嫌いなので、とんでもなく重症でない限り会社にも行きます。

先週末からガラガラ声になって、何を言ってるのか聞きとれないぐらいまでになりましたが、土日はソファーでゴロゴロして過ごし、このまま回復するのかと甘く考えていたら、寒い寒いと言い出して、熱を測ったら39度をこえていました…

流石に焦った私は、明日病院に行くわよ、と断っておき、早く寝ようとしたのですが、ディーの咳が半端なく、ゼエゼエヒューヒュー言って寝れないので、私はソファで寝るよ、と言ったらやっと一階の寝室に移動してくれました。あんなにゴホゴホしてるのに、一階に寝ようとする魂胆がわかりません。

久しぶりに広いベッドを独占し、よく寝れた私は、朝一に彼を起こして体温計を渡しました。熱は下がらないどころか上がってしまい、予約もしていませんが一番近所のクリニックに引きずって行きました。

とてもオシャレで新しい病院で、受付で保険を使いたいと言うと、カードを発行して挂号をして下さいと言われました。ここでちょっと中国くさいなと思ったのですが、特別な西欧化された病院以外、挂号と呼ばれる受付システムは当たり前なので、中国で15年ぶりくらいに中国病院にきたわけですが、言われた通りに受付をして当日の順番待ちをしました。

1時間は待つと言われて、ディーはふらりと家に帰ってしまい、私が代わりに問診票の記入などをしました。当たり前ですが、全く英語が通じず、久々の中国語に苦戦しました。手続きをしてる間に順番が来て、携帯を鳴らしても返事をしない夫を迎えに行き、また病院に戻りました。人の面倒みてる場合じゃないのに、こっちもデカイ腹抱えてんだぞ、と思いましたが、相方が元気がないと、なんとなく全てがカラーレスに見えました。

診察室は一つしかなく、入ると8人くらいの医者と思われる人が会議室の様にテーブルを長方形に囲み座ってました。一人はビデオカメラで撮影していて、一人はパソコンに議事録みたいなのをとっていました。なんだこのシチュエーションは…と怯みました。

どうぞお座り下さい、と初老の院長が声をかけて、診察が始まりました。他の人は研修医の様でした。

では、いつからどんな症状だったか教えて下さい、と言われて、時間を遡って説明したものの、体温を〝はかる〟重症には思えなかったので、昨晩から〝測り始めた〟などの動詞が出てこず、あーうーと言葉を探していると、貴女も中国語に不自由があるんですね、と院長に言われました。

イエス、ありますとも。出来ればこんな大勢の前で披露したくないです。英語のが良いけれど、英語でさえ医療用語はいまいちなのに、中国語の診察なんてハードルが高すぎました。

私の途切れ途切れのチャイ語を、言い直して院長に伝えてくれたアシスタントに感謝しつつ、ごく一般的な問診が終わり、院長はディーの脈をとりました。

おおお、これ中医だ、とやっとはっきり理解しましたが、このオッチャンに、イギリス人を治せるのだろうかと、不安になりました。

ウイルス性がどうか調べるために、念のため採血をしますと、結果を聞く前に採血室に行き、ここはしっかり血液検査するのかと、ふうんと思ったのですが、採血は指の先を針でプスっと刺すだけのもので、こんなんで調べられるんだろうかと、心配になりました。

血液検査の結果では、ウイルス性と細菌性の風邪があり、インフルエンザではないと言われ、細菌性だと診断されました。またふーんと思った私でしたが、院長が彼は漢方は飲めるのか、と聞くので、ディーにガチの漢方だけど試す?と聞きました。

漢方といっても、日本で売ってるような葛根湯のようなものでなく、木や根や葉っぱやよく分からない乾燥したものをお湯で煮出すのが中国の中薬=漢方です。

昔の知り合いが、北京から大量の漢方を持ち帰り、台所でグツグツ煮ていたのを思い出し、イギリスのこのおじさんがそんな液体を飲めるとは思えませんでした。

意外にも前向きだったディーは、試したいと言って、そうしたら院長が呪文のように、処方する材料名を言い出しました。おそらく10種類くらい。なんか映画に出てくるようなシーンで、不思議な感覚でしたが、この中国人は脈だけで何で必要なものが分かるんだろう、とやはり眉唾物でした。

妊娠してなかったら、うつっても仕方ないし、もっと看病もしてあげるのですが、今は悪い風邪をもらってる場合じゃないので、西洋医学の薬が欲しかった私でした。この部屋に入るまで分からなかったので、もう諦めるしかないのですが。

漢方を家で煮出すか、医院でスープに仕立ててもらうか、選べるというので、スープにしてもらうことにして、受けとりにだいぶ時間がかかりましたが、無事に診察は終わりました。

冷たい物はダメ、生野菜ダメ、フルーツダメ、肉ダメ、温かいもの、野菜を中心に食べなさいとアドバイスを貰って、また先に帰ってしまったディーのために、香港料理屋まで足を運んで、スープとお粥をゲットしました。

折角買ってきたのに、ほとんど食べなくてお金も無駄にしたし、憤慨しましたが、さらにはアイスが食べたいと言うおっさんのために、氷点下の中アイスを買い出しに行き、1日があっという間に終わってしまいました。

寝てれば良いのに、ソファで相変わらずテレビを見ているディー、イライラはしますが、早く良くなって会社に行ってほしい…

お薬タイムで、何かのタレ袋のように沈殿したブラウンの液体を彼に飲ませました。

あの苦い顔で今日1日が報われた気がします。

ブログランキング参加中

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Scroll Up