白船来航とオーク銀座レディースクリニックで体外受精③

ディーが日本に来ています。イギリスのカレンダーではイースターホリデー。今回は知人の家にタダで泊めてもらうことはやめて、うちの実家にステイしています。心配だったけれど、意外とうまくやっている彼。特に引きこもる訳でもなく、リビングの端のソファにドスッと座り、見ても理解できないテレビを見ています。キッチンからオレンジをくすねて食べたり、私が会社に行ってもまだ彼は家に居て、神経が図太いというか、適応能力があるというか、こういう人だと気を遣わなくて済むので助かります。

今回の滞在のメインの目的は体外受精なので、もちろん彼には精子様を提供するという大事なミッションがあるわけですが、当日ぶっつけ本番でやって駄目だったらやばいということになり、精子検査の為に週末の診察に彼も付いてきてもらいました。

受付のお姉さんが困るといけないので、ある程度の説明を私がしようと思って、採精室に一緒に入ったのですが、とてもシックなお部屋で、デスクとTVモニターと、8枚ぐらいのAVが置いてあり生生しいなと思いました。彼の目はキランと光っていましたね。私は見逃しませんでした。

マヨネーズとかタレとか入れるようなプラスチック容器の少し大きいものに入れて、シールを貼って提出するのですが、モノはそのまま部屋に置いていき、お姉さんにフィニッシュ!と伝えて下さい、と言われて、それはそれはフィニッシュだけどあまりにもリアルですなあと思ったのですが…

私は5日間の内服薬が終わり、注射も併用するので2回目のお尻注射のために彼を置いて診察に行きました。

刺激法ではありませんが、クロミッドだけでも順調に育っているように見え、この後はHMG注射で卵胞をさらに大きくするようです。嫌がっていた筋肉注射ですが、そりゃーチクッとはしますが、突き刺されて痛いという感じではありませんでした。渡邊医師も『そんな痛かったら誰もやらないですよ。』と言っていて、まあ確かにそうだよね、と思いました。ただ、体のしんどさは半端ないです。内服薬は普段の生活に支障がない程度ですが、HMGはきついです。やる気なくなる、動きたくなくなる、動けない、ちょっと休みたい・ちょっと眠りたい、頭の回転止まる、という感じで。仕方ないけれど、やっぱりしんどいもんだな。

うつ伏せになってお尻を半分出して看護婦さんに注射してもらうのですが、自分でやるのよりよっぽどいいワと思っています。間抜けな格好ですけど、もっとまずいとこ何人にも見られてるわけですし、ケツぐらい、どうでもいいっすよね。

ぶっすりと刺し終わり、待合室に戻りましたがディーの姿がありません。よく聞く話で、緊張して出せなくなるとか、男性としての自尊心が傷つくとか、まさか彼は大丈夫だろうと思っていましたが、ちょっと心配になる私…

出てこないなー。まだ出てこない…。大丈夫だろうか、本番でもないのに…

と思ったら、顔をピンクに赤らめたディーがホクホクと出てきました。いや、そんな笑顔で出てこられても、反応に困る…

私「ど、どうした?」

ディー『あのさ、DVDプレーヤーがさ、どうやって使うかわかんなかったの。見るエロビデオはすぐに選んだんだけど!で、どうしようかと思って焦っちゃってさ、時間かかってオロオロしちゃった。一回出ておねーさんに聞くの恥ずかしーじゃん?ビデオ見れないですって…』

粛々としたクリニックで申し訳なかったが、膝に頭を付けて笑いました。

ディー『一枚DVD盗んできた。』

私「うそだろ!?」

ディー『うそうそ。ふふふ。』 

コノヤロー、しゃれにならん…

検査結果に2時間位かかるということで、自分の精子の結果を知るために2時間もここにいたくないと、彼の意思を尊重してクリニックを後にしました。

次回は私のみの診察で、彼の結果を聞くことになっています。まだまだ採卵までに時間がかかりそうですが、うまくいくのか、全くわからん。

でも、私の不妊治療にもけじめというか、クロージングが必要なんです。ここまでやって駄目だったら諦めるしかないというか、その線引をするためにも、今回のイベントはとっても大事で。大して文句も言わず、色んな出来事を深刻にとらえず、フハハハと笑い飛ばしてこなす彼が好きです。

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