RIP Avicii (リライト)〜ニューリリース『Tim』”heaven”

彼の音楽、彼の闇。

命を絶つ人がいれば、すれすれで生き返る人もいる。

私が音楽を聞く理由とシチュエーションは大体決まっていて、鬱の防止の為に、毎日のリズム運動として有酸素をする時に聞く、もしくは外部と自分を隔離する為に聞く、がメインです。

悲しくなったり泣きたい時に音楽は使いません。私の様なアップダウンの激しい人間は、音楽の力を借りなくても悲しくなったり落ち込むのが簡単だからです。逆に気分を上げるのは自力では難しい、だから音楽を聞いて自分を奮い立たせます。

2013年にニュージーランドにいた時、ちょうど ”wake me up” が大ヒットしていて、街中どこを歩いてもAviciiだったことを覚えています。当時の私は、人生をやり直すのに必死で、全て自分1人の力でなんとかしようと思っていました。この曲を聞くたびに、背中を押される様な気分になりました。それと同時に、メロディはどこか切ないのに、歌手の声の異常な力強さと彼独特のEDM調のテンポに違和感を感じました。私にとって全く新しい音楽だったんだと思います。また、異国で頑張る私を、空から神さまに透かして見られている様な、すごく複雑な心境になったのも覚えています。

結局Aviciiの死は、私に予想以上の大きなダメージを与えました。彼の死後直後のニュースから、当時の彼女の投稿の炎上や、親しくしていたミュージシャンのトリビュートソング、死後初のリリース ”Tim” など、一年を経過しても尚追っかけて流れるニュース全てが、彼を何度も思い出させ、胸が苦しくなるのです。

彼の音楽の深さや世間一般のpop songsとの違いは、素人ですがわかりました。特にアメリカの曲なんかによくある、女や男やセックスや恋の駆け引きの歌なんかは、聞いていて楽しいですが、一時の楽しさが飽きに変わると、その曲に戻って聞きたいと思う事は殆どないんです。

でもAviciiの曲は、テーマが深く、歌詞もメッセージ性が強く、どこか常に哀愁が漂っていて、ノスタルジックで、20代の男性が作る音楽とは思えない深みがありました。だからこそ、この曲超好き!とはならないまでも、なんとなく気になって、なんとなく何を歌ってるのか知りたくなって、時間が経って後で聞いても、いつまでも素晴らしいんです。

彼の死後すぐ、アンオフィシャルな彼女、Terezaがかなり批判を受けていた時期がありました。亡くなった人に関してその故人に関わった人を叩いても、どうにもならないと思います。彼女の投稿は過激なものも含まれていましたが、何らかの理由で、交際を公表するのは避けていて、突然亡くなってしまった最愛の人を、頭の中で処理できずにオープンレターとして公表した、それにはそれなりの経緯があったのでしょう。

Aviciiの昔の昔の彼女Emily Goldbergが、彼とのテキストメッセージのスクリーンショットを公表した件もありました。直近で付き合っていたのはTerezaなのに、誰も自分とAviciiが付き合っていたことは知らなくて、大衆はゴシップに食らいつき、色々なニュースが飛び交いました。少し自己主張したくなるのは当たり前で、Aviciiとseriousなrelationshipだったのは私だったのよ、あなたたちは彼の何も知らないのよ、と言いたくなるのもわかります。

彼女のpostしたAviciiの写真は、愛に満ちていて、彼女の息子のことも(Aviciiとの実子ではない)とっても可愛がっていたのが見てとれました。ファンとしては、ヌードの写真とかも投稿している少しセクシャルな彼女の言動が耐えられないんだろうけれど、放っておいてあげたらいいんです。何をしたって戻ってこないものは来ないのだし。すごく近かった人間だったら、故人をしのぶ権利はありますでしょう。

でも問題は、なんで彼が人生を続けられなかったか、ということです。

愛する人がいたのに、その人達でさえ、自殺を止める存在になりえなかったのか。同じ鬱を持つ人間として、これ以上の落胆はありませんでした。

自らの命を絶って闇を終える、それも勿論一つの方法だけれど、生きていると、たまにボトムから抜けれることもあります。でも、暗黒の日々が繰り返すと、這い上がるという事を忘れます。自分がいかに元気だったか、思い出せなくなるんです。

Aviciiの闇はもっと深く、一般人の私では想像も出来ないけれど、クスリやアルコール、パーティのせいもあったのでしょう。28歳という若さで、富と名声を得た絶頂の少し後で、あぁ、もう人生やめよう、と思ってしまった彼は、本当に色々なミュージシャンに影響を及ぼしましたが、最期に何を思ったのでしょう。

海外のニュースを見て気になったのは、彼がセレブになりたかった訳じゃない、という話です。「Aviciiと近かった人」曰く、毎日夜通しパーティよりも、夜通し映画を見る方が幸せなタイプだったとの事です。ライブやパーティ大好き人間だったと完璧に誤解していましたが、もしパーティもDJも彼の音楽活動に必須だからやっていただけで、彼のやりたかったこととかけ離れていたら?

過酷なDJツアーに引きずり回され、自分の時間が全く持てなかったら?絶対頭がおかしくなります。AviciiではなくTimは保てないでしょう。お酒の力を借りたくなるのもわかります。私は一切踊りませんし、クラブなど一度も行ったことない人間ですが、Aviciiに妙に共感を得るのは、私も彼と同様にとてもintrovertedで、社交的なタイプではないからです。でも、ダンスミュージックは好きで、いつも聞いています。内向的で少人数を好むタイプでも、音楽の趣味はトロピカル・ハウスなんです。静かな人間だって音楽はアップテンポのものを好むこともあるのです。

EDMは一種の芸術だとは思うけれど、例えば世界最大級のフェス、「Tomorrowland」のライブなんて、観客皆、ものすごくぶっとんで見えます。何万のぶっ飛んだ人達を満足するライブを毎回作り上げないといけないプレッシャーはどんなもんでしょうか。でも舞台に立っている彼はEDM王者そのもので、パーティ好きじゃないです、なんて風には見えないんです。プロだったんですね。音楽に合わせて振り上げる手の動きとか、早すぎて、ちょっと尋常じゃ無く見える。でも、これはAviciiがやりたかったことではないんですね。彼は、純粋にいい音楽を作りたかったんだと、近かった人だけでなく、インタビューを受けた人はみんな言っています。

「Without You ft. Sandro Cavazza」のメイキング映像では、彼が音楽を作る過程の一部が垣間見えますが、その真摯な姿勢に感動しました。彼はこんな感じだったんだな、と印象が変わります。Sandro Cavazzaの歌う姿が超素敵で、クリップを見た後にもっとこの曲が好きになりました。ツアーのリタイアをしても、音楽作りに専念しても、彼の傷は癒えなかったんですね。

KygoもAviciiの影響を深く受けたDJの1人

Kygoの曲調はもっと明るく、ポジティブなメランコリーです。Aviciiは底辺から這い上がる力強さや泥臭さを感じましたが、Kygoは爽やかでうきうきとした、居心地の良いトロピックなチューンを作ります。KygoもAviciiの影響を強く受けた人の1人。2014年のTomorrowWorldでは、Aviciiの代打を務めました。

そんな彼がAviciiの死後、彼に捧げた曲がこちら。kygoのaviciiへのtribute song “happy now”

曲中にメンションするほどの仲、Mike Posnerの新曲”move on”

Mike Posnerはヒット曲 ”I Took a Pill in Ibiza” の最初のフレーズでAviciiをメンションしています。

I took a pill in Ibiza, to show Avicii I was cool. And when I finally got sober, felt 10 years older
But fuck it, it was something to do.

訳:イビザでドラッグをやった。Aviciiに俺がクールだってみせつけたかったんだ。やっとシラフになった時、10歳としとったみたいに感じた。でもいーや、なんか必要な事だったんだ。

そんな彼は、このヒットのあと、静かになります。最近リリースした動画では、グラミーをとった時と大違いのモシャモシャのヘアスタイルで、実の父親の他界や、彼女と別れた事、またAviciiの死について触れながら、move on(先に進む、気持ちを切り替える等の意味)と何度も歌っています。

ショーに出る為に磨かれた彼のルックスは芸能人そのもので、やさぐれて何もしていない彼は本当にただのモサイ人です。そんな彼が、クリップの中で流す涙や、お父さんと一緒に映っている場面、アメリカ横断を始めた事、理由が ”やりたいから” というだけな事も、この人の人となりをとてもよく表していて、自分が鬱でドン底に陥っていたあの時期を思い出しました。私もこうやって、やりたい事を見つけて生き返った1人です。

一方、先日リリースされたAviciiのニューアルバム『Tim』の中にある、彼のベストソングと言われている” heaven” は、取り方によってはかなり重い歌詞です。私はSpotifyを聞いていて、ニューリリースのシャッフルplayで偶然聞きましたが、Coldplayのクリスの声で分かりました。クリスが歌うと、なんでも明るく聞こえますが、歌ってる内容は、「ちょうど今死んだ」と何度も繰り返し、天国に行った、と締めくくります。これは、彼のmasterpieceなんでしょうか。私には、悲鳴や絶望感、終わり、に聞こえます。悲しいですが。

他にもSOSという曲では、ダイレクトにcan you here me S.O.S? と歌っています。文字通り、SOSが聞こえますか?です。だいぶ終わりに近づいていたのでしょうか?ドラッグが歌詞に出る回数も多く、歌から見れる希望が少ないのが気になります。アルバムの売り上げは、Tim bergling foundationに寄付され、若年層の自殺防止や、鬱の問題の改善、絶滅危惧種の保護と環境保護等に役立てるとのことです。Timが動物愛護や環境保護に興味があるとは知りませんでした。私もすごく関心を持つ分野なので、彼のご家族がこの様な団体を立ち上げてくれて良かったと、心から思います。

Aviciiのニュースで落ち込んでばかりの私ですが、聞いて必ず気持ちが明るくなる曲を作るミュージシャンがいるので、最後に紹介したいと思います。

DEAMN。Kygoと曲の雰囲気が似ていて、よく同じディープ・ハウスのリストに入っています。「Wonderland」では「Eric Demn」としてリリースしていますが、DEAMNとしてSpotifyでたくさん曲を提供しています。Kygoから切なさを取って十代のウキウキを足したような甘酸っぱいチューンが最高です。おばさんになっても、高校の頃に戻れるようなそんなポップなメロディー。

これを聞くと、ディー(英国人夫)が恋しくなり、大事にしようと思い直します。

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